アレルギー性鼻炎とは、アレルゲンを鼻などから吸入することで体内に入り、鼻の粘膜に炎症を起こす病気です。くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状があらわれます。風邪と違って、のどの痛みや熱などは伴いません。
- 〇通年性アレルギー性鼻炎
- 季節に関係なく一年中症状が続きます。通年性アレルギー性鼻炎の原因は、家の埃やダニ、ペットのフケやカビなどハウスダストです。症状を軽くするには、家の埃、ダニの糞・死骸、ペットの毛やフケ、カビなどを除去し、アレルギーのもとにできるだけさらされないようにすることが肝心です。
- 〇季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)
- 日本人の5人に1人が花粉症といわれており、花粉症の人口は1000万人以上と推定されています。また、年々増加する傾向にあります。スギやヒノキなどの植物の花粉が原因となり、目のかゆみ・異物感・充血、発作性のくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状を引き起こします。スギやヒノキの花粉以外にもアレルギーを引き起こす植物には、イネ科のカモガヤやハルガヤ、キク科ブタクサ、ヨモギほか、たくさんの種類があります。
2/1から日本耳鼻咽喉科学会静岡県地方部会のホームページで静岡県のスギ・ヒノキ花粉飛散状況を確認できます。駿河区の花粉計測は当院で行っています。
今日の花粉飛散状況>
当院では、花粉症を含むアレルギー性鼻炎に対して、薬物療法、免疫療法、レーザー治療を行っており、患者様のライフスタイルに合わせた治療法をご提案しております。
薬物療法
最も一般的な治療方法で、抗アレルギー薬の内服や鼻スプレー、目薬を組み合わせて症状を抑えていきます。薬による治療は症状を一時的に抑える「対処療法」で、原因を根本から治す治療ではありません。
免疫療法
免疫療法とはアレルギーの原因である「アレルゲン」を低濃度から身体に取り込み、体をアレルゲンに慣らしアレルギー耐性を強めていくことにより、アレルギー症状を和らげる治療法です。他の治療法と比較した場合、根本から体質改善が期待できます。
- 〇舌下免疫療法
- 2014年10月より開始された新しい免疫療法です。スギ、ダニが原因のアレルギーを唯一根治できる治療法として期待されています。アレルゲンを含んだ液体を2分程度口の中に入れていただき、その後飲み込みます。これを最初の2週間で量を増やしていき、3週目以降は同量のスギのエキスを毎日舌下に含みます。1回目の舌下投与は医療機関で行ないますが、以降は毎日自宅で行なう必要があります。即効性はないため、3年以上継続されることを推奨しております。
現在は、スギ、ダニが原因のアレルギーと診断された12歳以上の患者様が治療を受けることができます。
- 〇皮下免疫療法
- スギやハウスダスト、ダニなどの治療用アレルゲンの投与を皮下注射により行う免疫療法です。低い濃度から治療を開始し、徐々に濃度を上げていきます。(増量期)。
増量期の期間は週1回の皮下投与を行い、最終的には4週間に1回の皮下投与(維持期)になります。
根治を目指す治療法ですが即効性はなく、3年以上継続治療が必要です。
皮下免疫療法は小さなお子様でも治療を受けることができます。
また導入初期からスギとダニなど2種抗原の治療を同時に受けることができます。
レーザー治療(アルゴンプラズマ):保健適応
鼻の中の下鼻甲介と呼ばれる粘膜を焼灼することにより、過敏になった粘膜の過剰反応を鈍らせ鼻づまり、鼻汁、鼻のかゆみ等のアレルギー症状全般に効果があります。
アルゴンプラズマを使用することにより一度の焼灼で治療効果が期待できます。
スギ花粉症のほか、通年性アレルギー性鼻炎の治療にも有効です。
スギ花粉症の方は花粉が飛ぶ前の秋から冬、遅くとも1月初旬までに行うことをお勧めしています。
効果は通常1~2年持続し、約80%の有効性があります。
授乳中の方でも治療可能です。